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レディース下着の歴史|胸帯・コルセットから今のブラジャーとショーツまで

毎日身につけるブラジャーやショーツは、実は100年ほどで大きく姿を変えてきました。古代の胸帯から、からだを締めつけたコルセットの時代、そして今の「心地よく支える」下着まで。レディース下着の歴史をたどると、今の下着選びのヒントも見えてきます。

更新日 編集 株式会社白鳩

アトリエに並ぶ3体のトルソーに、コルセット、1920年代風のバンドー、現代のノンワイヤーブラが着せられたイラスト

このページでわかること

  • 古代の胸帯から中世のカップ付き下着まで、胸を支える工夫の始まり
  • コルセットとクリノリン、バッスルが作った「シルエットの時代」
  • 1914年のブラジャー特許から、ワイヤー・スポーツブラ・ノンワイヤーへの流れ
  • ドロワーズからショーツへ、スカート丈とともに変わった下半身の下着
もくじ
  1. 古代〜中世:胸を「巻く」から「包む」へ
  2. コルセットとクリノリン:シルエットを作る時代
  3. 1914年のブラジャー特許と「ブラジャー」という言葉
  4. 1920年代〜1950年代:時代ごとに変わる「理想の胸の形」
  5. 1960年代〜現在:動きやすさと心地よさの時代へ
  6. サイズ表記の整備:日本のJISができるまで
  7. ドロワーズからショーツへ:スカート丈とともに変わった下半身の下着
  8. 歴史から見る、今の下着選び
  9. よくある質問

古代〜中世:胸を「巻く」から「包む」へ

胸を布で支える習慣は、とても古くからありました。古代ギリシャでは胸に帯状の布を巻くことがあり、喜劇の中にもその様子が登場します。古代ローマでも同じような胸帯が使われ、4世紀ごろのものとされるシチリア島のモザイク画には、胸帯を巻いて運動する女性たちが描かれています。ただし、こうした胸帯をどのくらい日常的に身につけていたのかは、はっきりわかっていません。

長いあいだ「カップのある下着は19世紀以降のもの」と考えられてきましたが、2008年にオーストリアの古城で見つかった麻の下着がその見方を変えました。年代測定の結果、15世紀のものとされるカップ付きの下着だったのです。胸を「押さえる」だけでなく「包んで支える」という発想は、思っていたよりずっと昔からあったことがわかります。

コルセットとクリノリン:シルエットを作る時代

16世紀になると、スペインの宮廷ファッションの影響で細い胴が理想とされ、硬い芯を入れた胴衣が下着として広まりました。これがコルセットの始まりです。コルセットは形を変えながら、19世紀の終わりまで女性の装いの土台であり続けました。

19世紀には、スカートの形を作る下着も大きく発達します。1850年代後半には、輪の骨組みでスカートを大きく広げる「ケージ・クリノリン」が登場し、1860年代後半まで流行しました。その後、1870年代にはスカートのふくらみが後ろへ移り、腰の後ろを張り出させる「バッスル」の時代になります。

19世紀後半のバッスルドレスを着て日傘を持って歩く女性のイラスト

一方で、締めつけの強いコルセットは19世紀前半から「食事がとれない」「倒れてしまう」と健康面で問題視されていました。1881年にはイギリスで服装改革を訴える団体が生まれ、締めつけすぎる下着への批判が広がっていきます。

今の下着とのつながり

「形を作る下着」の考え方は、今のガードルやウエストニッパーに受け継がれています。ただし今は、強く締めつけるより、着ている間の見え方と動きやすさのバランスを大切にしたものが中心です。

1914年のブラジャー特許と「ブラジャー」という言葉

近代的なブラジャーの原型として広く知られているのが、1914年にアメリカで認められた「Brassiere」の特許です。2月12日に出願され、11月3日に登録されました。この特許はのちに下着会社へ売却されたといわれています。

ただし、これが「世界で最初のブラジャー」というわけではありません。1893年には胸を支える下着の特許がすでにあり、19世紀末のフランスでも胸を支える下着が考案されています。「1914年の特許=近代ブラジャーの原型として最も有名なもの」と考えるのが正確です。

「brassiere」という言葉は、もともとフランス語で上半身を覆う胴衣を指していました。英語で女性の下着の意味で使われ始めたのは1900年代初めのアメリカとされます。ちなみにフランス語では、ブラジャーは「soutien-gorge(スティアン・ゴルジュ)」と呼ばれます。

1920年代〜1950年代:時代ごとに変わる「理想の胸の形」

1910年代以降、服のシルエットがまっすぐになると、コルセットは少しずつ姿を消していきます。1920年代には、コルセットが担っていた役割が胸を支えるブラジャーと腰回りを整えるガードルに分かれました。この時代は少年のように平らな胸が理想とされ、胸を「支える」よりも「押さえる」バンドー型のブラジャーが使われました。

1930年代には、アルファベットでカップの大きさを表す方法が登場したとされます。どの会社が最初に始めたかは資料によって異なり、諸説あります。同じころ、カップの下にワイヤーを入れる形も生まれ、1950年代に広く普及しました。

1950年代風のフレアスカートのワンピースにカーディガンを羽織った女性のイラスト

1940〜50年代は、丸いステッチで円すい形に仕上げたカップが登場し、ウエストを細く見せるドレスとともに時代を代表する形になりました。

1960年代〜現在:動きやすさと心地よさの時代へ

1960年代のカナダでは、胸元を深く見せるプランジ型の寄せ上げブラが生まれました(開発年は資料によって異なります)。1994年には、このタイプのブラジャーがイギリスの広告をきっかけに世界的なブームになりました。

1977年には、アメリカでジョギングをする女性たちが、運動のためのスポーツブラを試作しました。その試作品はアメリカの博物館に収蔵されています。それ以前にも運動向けのブラはあったとする見方もありますが、走る・跳ぶといった動きに合わせて胸の揺れを抑える下着が、この時代に広く知られるようになりました。

2010年代に入ると、ワイヤーやパッドの入ったブラだけでなく、ブラレットやノンワイヤーブラのような、やわらかく着け心地を重視した下着が広がります。在宅で過ごす時間が増えた時期には、この「快適さ重視」の流れがさらに強まりました。

よく聞く話、実は…

「1968年に女性たちがブラジャーを燃やして抗議した」という話がよく知られていますが、実際にはミス・アメリカ会場前の抗議でブラジャーなどをゴミ箱に捨てたもので、燃やしてはいなかったというのが定説です。

サイズ表記の整備:日本のJISができるまで

ブラジャーが日常の下着になるにつれて、「自分に合うサイズをどう選ぶか」も大切なテーマになりました。アメリカでアルファベットのカップサイズが登場したのが1930年代、アンダーバストの寸法と組み合わせて表す方法が広がったのは1940年代とされます。

日本では、1980年にJIS(日本産業規格)でファンデーションと靴下のサイズが定められました。1987年にはファンデーションと靴下が別々の規格に分かれ、1998年の改正で、トップバストとアンダーバストの差によるカップの区分が整えられました。さらに2023年の改正では、ブラジャーにバストとアンダーバストを、ガードルにヒップとウエストを表示する内容が加わっています。

年日本のサイズ規格の主な動き
1980年ファンデーションと靴下類のサイズをJISで制定
1987年ファンデーションと靴下類が別々の規格に分かれる
1998年カップをAA〜Iの体型区分で定める改正
2023年バスト・アンダーバスト(ブラ)、ヒップ・ウエスト(ガードル)の表示を追加

同じ「B70」でも、ブランドや形によって着け心地が違うことはよくあります。表示サイズはあくまで目安として、実際のフィット感で選ぶのがおすすめです。カップサイズの決まり方は用語辞典でも解説しています。

ドロワーズからショーツへ:スカート丈とともに変わった下半身の下着

下半身の下着の歴史は、スカートの長さと深く関わっています。ひざ下まである「ドロワーズ」は、もともと男性の脚衣が起源とされ、16世紀のイタリアで女性も身につけ始めました。18世紀中ごろに広まり、19世紀にはクリノリンの下にはくのが一般的になります。また、スカートのふくらみを作ったり透けを防いだりするペチコートも、重ねて着られていました。

1920年代になると、スカートの丈が短くなるのに合わせて、下着もぐっと短く軽くなり、今のショーツにつながる形が定着しました。ワンピースの下に着るスリップも、すべりをよくし、透けや静電気を防ぐ下着として今も使われています。

歴史から見る、今の下着選び

レディース下着の歴史を振り返ると、「からだを服に合わせて締める」時代から、「からだに合わせて心地よく支える」時代へと移ってきたことがわかります。今は、きれいに見せたい日はワイヤー入り、くつろぎたい日はノンワイヤー、運動する日はスポーツブラというように、目的に合わせて選べる時代です。

  1. 15世紀カップ付きの麻の下着が作られる(2008年にオーストリアで発見)
  2. 16世紀細い胴が理想とされ、コルセットが下着として広まる
  3. 1850年代後半輪の骨組みで広げるケージ・クリノリンが登場
  4. 1870年代ふくらみが後ろに移り、バッスルの時代へ
  5. 1914年アメリカで「Brassiere」の特許が登録される
  6. 1920年代コルセットの役割がブラジャーとガードルに分かれる。ショーツが定着
  7. 1930年代アルファベットのカップサイズが登場(始まりは諸説あり)
  8. 1950年代ワイヤー入りのブラジャーが広く普及
  9. 1977年運動向けのスポーツブラが試作される
  10. 2010年代〜ブラレットやノンワイヤーなど、着け心地重視の下着が広がる

自分に合うサイズや形を知りたいときは、ブラジャーの選び方やサイズの測り方もあわせてご覧ください。日本での下着の歩みは日本の下着の歴史で、より詳しい流れは下着の歴史年表で紹介しています。

よくある質問

ブラジャーを発明したのは誰ですか?

1914年にアメリカで取得された「Brassiere」の特許が、近代ブラジャーの原型として広く知られています。ただし、それ以前にも胸を支える下着の特許や考案はあり、15世紀のものとされるカップ付きの下着も見つかっています。「この人が世界で最初」と1人に決めることはできません。

コルセットはいつごろまで使われていたのですか?

コルセットは16世紀ごろから19世紀末まで広く使われました。1910年代以降は直線的なシルエットの服が好まれるようになり、1920年代にはコルセットの役割がブラジャーとガードルに分かれていきました。

カップサイズのA・B・Cはいつからあるのですか?

アルファベットでカップを表す方法は1930年代のアメリカで登場したとされますが、どの会社が最初かについては諸説あります。日本では1980年にJIS(日本産業規格)でファンデーションのサイズが定められ、その後の改正でカップの区分も整えられてきました。

最近ノンワイヤーのブラが増えたのはなぜですか?

2010年代ごろから、着け心地を重視したブラレットやソフトなブラが広がり、在宅時間が増えた時期にはさらに快適さを求める流れが強まりました。今はワイヤー入りとノンワイヤーを、シーンや気分で使い分ける人が増えています。

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